- ルートA=OpenAI公式プラグイン。
/codex:reviewなどのコマンドでSolをレビュー役・相談役として呼び出せる。主役はClaudeのまま - ルートB=CLIProxyAPI(既定ポート8317のローカルプロキシ)。Solを主役モデルとして走らせる。常時Solのエイリアス起動(B-1)と
/modelでの切替(B-2)の2通り - 海外では「SolはCodexよりClaude Code内のほうがよく走る」という声が上がり、「性能はモデルでなくハーネス」という論点に発展している
01何が話題になっているのか
発端は、ちーず氏(@chizevsm5)が7月に公開したX記事です。内容をひとことで言えば、「ChatGPT有料プランに含まれるCodexの利用枠だけで、GPT-5.6 SolをClaude Codeの中で使える」という手順の整理でした。OpenAIのAPIキーを新たに発行する必要はなく、従量課金も発生しません。支払いはすでに契約しているChatGPTプランの中で完結し、消費されるのはそのプランのCodex枠です。
この組み合わせが目を引いた理由は2つあります。1つは、Claude CodeとCodexという競合2社の看板ツールが、公式・非公式の両ルートで実際につながってしまったことです。しかもルートAのプラグインはOpenAI自身が公開しており、競合のエージェントに自社モデルを差し込むという構図がそもそも異例でした。もう1つは、つないでみた開発者たちから「SolはCodexで動かすよりClaude Codeの中で動かすほうがよく走る」という報告が出てきたことです。これは後半で扱う「性能はモデルでなくハーネスで決まる」という論点につながっていきます。
まずは仕組みから確認します。別会社のモデルが、なぜClaude Codeの中で動くのでしょうか。
02なぜ他社モデルがClaude Codeで動くのか
鍵は2つあります。1つ目は、Claude Codeが環境変数ANTHROPIC_BASE_URLで接続先を差し替えられることです。通常はAnthropicのAPIに向いている通信を、ローカルのアドレスに向け直せます。2つ目が、その向け直した先で通訳として働くCLIProxyAPIです。Go製・MITライセンスのオープンソースで、手元のマシンでプロキシとして常駐します。
Claude CodeはAnthropicのAPI形式でリクエストを話し、Codexが返すのはOpenAIの形式です。そのままでは会話が成立しないため、CLIProxyAPIが間に立って両方向の翻訳を引き受けます。Claude Codeから届いたリクエストをCodex形式に変換し、ChatGPT契約の認証を使ってSolの応答を取得し、Anthropic形式に戻してClaude Codeへ返す。この一連の変換が、既定ポートの8317番でローカル完結します。
Claude Codeから見れば、接続先がいつも通りのAPIに見えたまま、返事だけがSolのものになる——これがルートBの正体です。一方のルートAは、翻訳を挟まずにCodex CLIそのものをClaude Codeの部品として呼び出す方式で、仕組みはさらに素直です。それぞれの手順を見る前に、どちらを選ぶべきかを整理しておきます。
032つのルートをどう選ぶか
分かれ目は「Solに何をさせたいか」です。Claudeを主役に置いたまま、書いたコードのレビューや行き詰まったバグの調査をSolに頼みたいなら、ルートAの公式プラグインが該当します。OpenAI公式の提供物なので導入の心理的ハードルが低く、スラッシュコマンドを4つ打てば使い始められます。
Solそのものを主役モデルに据えて、Claude Codeというハーネスの上で走らせたいならルートBです。ただしこちらはコミュニティ発の非公式手法で、プロキシの設定と2つの認証を自分で通す必要があります。常にSolで起動するB-1と、普段はClaudeのまま場面に応じて/modelで切り替えるB-2という2つの使い方に分かれます。
04ルートA: 公式プラグインで入れる
OpenAIが公開しているClaude Code向けプラグインcodex-plugin-ccを使うルートです。Claude Codeの中で次の4つを順に実行すれば導入は完了です。
| 手順 | Claude Codeで打つコマンド |
|---|---|
| 1. マーケット追加 | /plugin marketplace add openai/codex-plugin-cc |
| 2. インストール | /plugin install codex@openai-codex |
| 3. 再読み込み | /reload-plugins |
| 4. 初期設定 | /codex:setup(Codex CLIの状態確認と設定) |
導入後は/codex:reviewで差分レビュー、/codex:adversarial-reviewで設計判断まで踏み込む厳しめのレビュー、/codex:rescueで調査や修正の委任、といったコマンドが使えるようになります。動作にはCodex CLI本体が必要で、解説記事ではNode.js 18.18以上とCodex CLI 0.144.0以上が要件として挙げられています。npm install -g @openai/codex@latestで最新化しておくと確実です。
このルートの性格は「主役の交代」ではなく「二人目の目を持つ」ことにあります。Claudeが書き、Solが出荷前に検品する。同じコードを別の系統のモデルが読むため、片方だけでは通り抜けてしまう盲点を拾いやすくなります。編集部でもこのプラグインを決済コードの監査に使っており、Claudeのレビューを通過していた本番コードから、Codex側のレビューが二重課金につながる経路を検出したことがありました。レビューや監査のように「見落としの被害が大きい」場面ほど、公式ルートの手軽さが効いてきます。
05ルートB: CLIProxyAPIで主役にする
Solを主役モデルとして走らせるルートです。土台づくりは3段階で、まずCLIProxyAPIを導入し、config.yamlにポート番号の8317と、自分で決めたAPIキーを書きます。このキーは外部サービスの発行物ではなく、Claude Codeとプロキシの間の合言葉です。次に認証を2つ通します。ChatGPT側とClaude側のログインをプロキシに覚えさせれば、土台は完成です。
ここから先が2つに分かれます。B-1は「起動したら常にSol」という構えで、環境変数を束ねたエイリアスを作っておく方式です。元記事や海外の解説で共有されている形は次の通りです。
| 環境変数 | 役割 |
|---|---|
ANTHROPIC_BASE_URL= |
Claude Codeの接続先をローカルのCLIProxyAPIへ向ける |
ANTHROPIC_AUTH_TOKEN |
config.yamlに書いた自分のAPIキーを渡す |
CLAUDE_CODE_SUBAGENT_MODEL= |
サブエージェントのモデルもSolに固定する |
CLAUDE_CODE_ALWAYS_ENABLE_EFFORT=1 |
推論のeffort(思考の深さ)指定を常に効かせる |
CLAUDE_CODE_MAX_TOOL_USE_CONCURRENCY=3 |
ツールの同時実行を3本に抑え、レート制限を避ける |
ENABLE_TOOL_SEARCH=false |
ツール検索機構を無効化する |
これらをclaude --model gpt-5.6-solの前に付けた1行を、claudexなどの名前でシェルのエイリアスに登録します。以後はclaudexと打つだけで、Claude Codeの見た目のままSolが主役の環境が立ち上がります。海外ではこの使い方自体が「Claudex」という愛称で呼ばれるようになりました。
B-2はもっと軽い運用です。接続先だけプロキシに向けておき、普段はClaudeで作業して、Solに任せたい場面で/model gpt-5.6-solと打って切り替えます。戻すときも同じく/modelで選び直すだけです。試行段階や、タスクごとにモデルを比べたい時期はB-2から入るのが自然で、Sol中心の運用が固まったらB-1のエイリアスに昇格させる、という順番が無理のない流れです。
06論点「性能はモデルでなくハーネス」とは
手順そのものより議論を呼んでいるのが、つないだ後の観察です。海外の開発者コミュニティでは、同じSolでも本家のCodexで動かすよりClaude Codeの中で動かすほうが安定して良い結果を出す、という報告が相次ぎました。モデルは同一なのだから、差を生んでいるのは周りの実行環境——エージェントの計画やツール実行を束ねる「ハーネス」の側だ、というわけです。
元記事はこれを、エンジンと車体の関係にたとえて説明しています。モデルはエンジンで、ハーネスは車体。馬力が同じでも、足回りと制御が違えば走りは変わります。エージェントの体感品質は、モデルの地力だけでなく、ツールをどう呼ばせるか、サブエージェントをどう管理するか、思考の深さをどう配分するかという車体側の設計に大きく左右される、という見立てです。
具体的な論点として挙がったのが、サブエージェントの制御でした。T3スタックの作者Theo氏はSolのeffort設定に関する問題をXで指摘しており、サブエージェントのeffortを自分で固定できる点ではClaude Codeが先行している、という旨を述べています。実際、ルートB-1のエイリアスにCLAUDE_CODE_SUBAGENT_MODELやCLAUDE_CODE_ALWAYS_ENABLE_EFFORTが含まれているのは、まさにこの「車体側から挙動を固定する」操作にあたります。
この論点は、ツール選びの前提を1段深くします。これまで「どのモデルが強いか」で比べられてきたコーディングエージェントは、実際には「どのハーネスがモデルの力を引き出すか」でも競っていたことになります。今回のルートBは、モデルを固定したままハーネスだけを差し替えて比べられる、いわば対照実験の装置です。自分の仕事のコードで両方を走らせて確かめられること自体に、手順以上の価値があります。
07運用前に確認すること
試す前に、押さえておくべき注意点が3つあります。第一に、認証情報の置き場所です。CLIProxyAPIはChatGPTとClaudeのOAuth認証情報をローカルに保存して動くため、保存先ディレクトリのファイル権限に気を配り、外部からアクセスできるサーバーには絶対に置かない、というのが解説記事共通の警告です。プロキシはあくまで自分のマシンの中で完結させます。
第二に、ルートBが非公式のコミュニティ手法である点です。各サービスの利用規約との整合はユーザー側の確認事項として残り、将来の仕様変更で動かなくなる可能性も否定できません。個人の検証はともかく、会社の契約アカウントで使うなら、規程との照合を先に済ませておくべきです。公式提供物であるルートAには、この種の不確かさがほとんどありません。
第三に、コードの送信先が変わることです。Claude Codeという見た目のままでも、ルートBでは中身のリクエストがOpenAI側に届きます。扱うリポジトリの外部送信可否を、送信先が変わる前提で確認し直してください。逆に言えば、確認すべきはこの3点に収まります。ChatGPT契約がすでにあるなら追加コストはかからないので、検証用のリポジトリでB-2の/model切替から小さく試し、ハーネス論を自分の目で確かめてみるのが良い入り方です。
08よくある質問
追加のAPI料金はかかりますか?
かかりません。OpenAIのAPIキーを新たに発行する必要はなく、支払いはすでに契約しているChatGPTプランの中で完結します。消費されるのはそのプランのCodex枠です。
2つのルートはどう選べばよいですか?
Solに何をさせたいかで決まります。Claudeを主役に置いたままレビューやバグ調査を頼みたいならルートAの公式プラグイン、Solそのものを主役モデルとして走らせたいならルートBのCLIProxyAPIです。
ルートAの導入手順を教えてください
Claude Codeで4つのコマンドを順に実行します。/plugin marketplace add openai/codex-plugin-cc、/plugin install codex@openai-codex、/reload-plugins、/codex:setup の順です。導入後は /codex:review などのコマンドが使えます。
なぜ他社のモデルがClaude Codeで動くのですか?
Claude Codeが環境変数 ANTHROPIC_BASE_URL で接続先を差し替えられることと、その先でCLIProxyAPIが形式を相互変換することの2つが理由です。Anthropic形式とOpenAI形式の翻訳が、既定ポートの8317番でローカル完結します。
ルートBは公式に認められた方法ですか?
ルートBはコミュニティ発の非公式手法です。プロキシの設定と2つの認証を自分で通す必要があり、規約との整合は事前に確認してください。一方のルートAで使うプラグインはOpenAI自身が公開している公式の提供物です。
「性能はモデルでなくハーネス」とはどういう意味ですか?
同じGPT-5.6 Solでも、Codexで動かすよりClaude Codeの中で動かすほうがよく走るという報告が海外から出たことから生まれた論点です。モデルの素の性能だけでなく、それを動かす実行環境の設計が結果を左右するのではないか、という見方を指します。