「インストールはしたものの、チャットに何を書けばいいのか分からない」「AIに任せた結果が正しいのか確かめようがない」。Antigravityの使い方でつまずくのは、たいていこの2点です。Antigravityはコードを書かせるツールではなく、作業を1つ渡して、途中の計画と結果を確認しながら仕上げていく開発環境です。エージェントはエディタとターミナルとブラウザの3つを自分で操作し、実装計画やコード差分、ブラウザの操作録画といった成果物を残します。この記事では、指示を出してから完成物を受け取るまでの一周を操作単位で追い、任せてよい作業と自分の手を残すべき作業の線引きまで整理します。

Antigravityとは何ができる開発環境か

Googleは自社の開発者向けブログで、Antigravityを「より高い、タスク単位の水準で作業するための新しいエージェント型開発プラットフォーム」と説明しています。補完機能付きのエディタではなく、作業そのものを引き受ける相手として設計されています。

従来のAIエディタは「書いている自分」が主語で、AIは提案する側でした。Antigravityは「作業を受け取ったエージェント」が主語で、利用者は指示を出す側とレビューする側に回ります。

エージェントが自分で操作できる3つの場所

Antigravityのエージェントは、エディタ・ターミナル・ブラウザの3つに直接アクセスします。ファイルを書き換え、コマンドを実行し、動作確認のためにブラウザを開くところまでを一続きで行います。人が仲介してコピーや貼り付けをする工程が挟まらないのが特徴です。

FIG.1
エージェントが触る3つの場所と、利用者が確認するもの
場所 エージェントがすること 利用者が確認するもの
エディタ ファイルの作成・書き換え コード差分
ターミナル コマンド実行・テスト・ビルド 実行ログ
ブラウザ 画面を開いて操作し動作を確認 スクリーンショット・操作録画

Agent Managerでエージェントに作業を渡す

公式ブログはAgent Managerを「複数のエージェントを生成し、指揮し、異なるワークスペースをまたいで非同期に動く様子を観察できる専用インターフェース」と説明しています。1つの作業を頼む場合も、複数を並行させる場合も、Agent Managerが起点になります。

Antigravityのインストールと初期設定はどこまで必要?

必要なのは、インストールとアカウント連携、表示と回答の日本語化、使える範囲の確認の3つです。いずれも一度済ませれば、以降は触りません。

インストールとアカウント連携、初回起動時の設定はAntigravityのインストールと初期設定でまとめています。画面表示とAIの回答を日本語にする設定は、表示言語と回答言語で設定場所が分かれており、手順はAntigravityを完全日本語化する方法で解説しています。回答が英語のまま戻ってしまう場合もこちらが該当します。

使える範囲と費用は先に把握しておくと安心です。無料でどこまで動かせるかはAntigravityの無料枠、有料プランの内訳はAntigravityの料金、上限に当たったときの回避策はAntigravityの制限と対処で扱っています。エージェントを長時間走らせると消費が読みにくくなるため、上限の考え方だけでも先に見ておくと無駄がありません。

Antigravityの基本操作|タスクを1つ任せる流れ

1つの作業を投げて完成物を受け取るまでは、4つの段階に分かれます。4段階を覚えれば、規模が変わっても手順は同じです。

FIG.2
指示から完成までの4段階
段階 操作する場所 ここで手を抜くと起きること
01 指示 Agent Managerの入力欄 対象範囲が広がり、関係ないファイルまで変更される
02 計画の確認 実装計画のArtifact 方針違いのまま実装が進み、やり直しになる
03 結果の検証 コード差分・操作録画 動いたつもりの実装が残る
04 修正の指示 Artifactへのコメント 最初から作り直させて時間を捨てる

ステップ①:ワークスペースを開いて指示を出す

Agent Managerで対象のフォルダを開き、入力欄に日本語で作業内容を書きます。エディタから使う場合の入力欄は、公式ドキュメントによると画面右側のサイドパネルです。指示の書き方で結果がほぼ決まるため、型に沿って書きます。触ってほしいファイルやディレクトリを名指しし、完成の条件を1文で置き、避けたい実装方針があれば先に書いておきます。

実際の指示は、次のような粒度が扱いやすい形です。

src/components/Form.tsx の入力チェックを直してください。

- メールアドレスの形式チェックを追加する
- 空欄のときは送信ボタンを押せないようにする
- 完成条件: npm test が通り、既存のテストを壊さないこと
- 新しいライブラリは追加しないでください

「フォームを直して」だけでは、エージェントは対象を自分で解釈します。範囲と完成条件を書いておくと、無関係なファイルまで書き換えられる事故が減ります。

指示文に必ず書く4つの要素

書き漏らしを防ぐために、対象ファイル・完成条件・禁止事項・確認方法の4つを並べます。対象ファイルはパスで名指しし、フォルダ単位ではなくファイル単位まで絞ります。完成条件は「npm test が通る」のように、合否を機械で判定できる形にします。禁止事項は「新しいライブラリを追加しない」など、避けたい実装方針を先につぶす一文です。確認方法は、テストで見るのか画面の目視で見るのかを決めておくと、結果を受け取ったあとの判断が短く済みます。

ステップ②:実装計画を読んで方針を直す

指示を受けたエージェントは、コードを書く前に実装計画をArtifactとして出します。公式ドキュメントによると、実装計画はエージェントの方針と進捗を記録したマークダウン形式の文書です。実装が始まる前に方針を直せるため、レビューの手間が最も小さく済みます。

読むのは3行だけで足ります。どのファイルを触るつもりか、どういう順番で進めるつもりか、テストをどう通すつもりか。3つとも想定どおりなら先へ進め、違っていれば実装が始まる前に書き直させます。公式ドキュメントは、ローカルのファイルが変更される前に、テキストで直接フィードバックを入れてエージェントの考えを軌道修正できると説明しています。

Proceedで進める/Reviewでコメントをまとめて返す

計画に問題がなければ「Proceed」ボタンを押します。公式ドキュメントによると、Proceedは会話の中とArtifactのヘッダーの2か所にあり、どちらを押しても計画どおりに実装が始まります。直したい箇所があるときは、Artifactのヘッダーにある「Review」ボタンに切り替えます。Reviewでは付けたコメントを全部見たうえで、まとめて1つのメッセージとして返せます。気づいた順に1行ずつ送るより、Reviewでまとめてから返すほうが手戻りが少なく済みます。

ステップ③:差分と操作録画で結果を確かめる

実装が進むと、変更内容がコード差分として表示されます。公式ドキュメントによると、Antigravity 2.0では対話的な計画の確認、コード差分のレビュー、ブラウザ操作の録画再生を、アプリの画面内で直接行えます。承認が必要なときにターミナルのステータスバーへ通知が出るのは、公式ドキュメントではAntigravity CLIの動作として書かれています。デスクトップアプリとエディタ拡張では、ターミナルの通知ではなく実装計画のProceedボタンとReviewボタンで進行を決めます。

画面まわりの作業を任せたときは、録画の再生が効率的です。エージェントが実際にどのボタンを押し、どの画面に遷移したかを見れば、実装が仕様どおりかを判断できます。

Review Changesで変更ファイルをまとめて見る

エディタから使っている場合、エージェントがコードを書き始めると、画面右側のサイドパネルの入力欄の上にあるツールバーに「Review Changes」が出ます。公式ドキュメントによると、ツールバーには変更中のファイル、動いているターミナルの処理、生成されたArtifactが並びます。Review Changesを開くと、会話の中で加えられた変更を1つの画面でまとめて見られます。Artifactと同じように、ファイルの差分にもコメントを付けてエージェントへ伝えられます。

ブラウザ録画のどこを見るか

公式ドキュメントによると、録画はBrowser Subagentがブラウザを操作するたびに生成され、ブラウザのステップ表示の下と、独立した録画Artifactの2か所に出ます。録画Artifactは操作を繰り返し再生する形式なので、押した順番と画面の遷移を追いかけられます。確認するのは、頼んだ手順どおりに進んでいるかと、途中でエラー画面が挟まっていないかの2点です。

ステップ④:Artifactにコメントして仕上げる

直したい箇所が見つかったら、会話を止めずにArtifactへ直接コメントを書きます。公式ブログは、この操作を「ドキュメントにコメントを付けるのと同じように、Artifactに直接フィードバックを残せる。エージェントは実行の流れを止めないまま、その入力を取り込む」と説明しています。

作り直しを命じるより、対象を絞ったコメントのほうが速く収束します。「バリデーションのメッセージを日本語にしてください」といった単位で渡すのが、実務では扱いやすい進め方です。

Artifactsでは何を確認すればいい?

実装計画とコード差分の2つを見れば、ほとんどの誤りは捕まえられます。Antigravityが残すArtifactには、実装計画、コード差分、アーキテクチャ図、画像、ブラウザ操作の録画があり、全部を毎回開く必要はありません。

実装計画では対象ファイルの範囲を確認する

計画で確認するのは、方針の正しさよりも範囲の広さです。頼んだ覚えのないファイルが対象に入っていたら、その時点で指示が曖昧だった証拠になります。範囲を狭める指示を返してから実装させると、レビューの負荷が下がります。

コード差分とブラウザ録画の使い分け

ロジックの変更は差分を読みます。画面の見た目や操作の流れは、差分を読むより録画を見るほうが速く判断できます。どちらか一方に寄せず、変更の種類で切り替えるのが実際的です。

スクリーンショットに直接指示を出す

エージェントはブラウザ操作の途中でスクリーンショットを保存します。この画像に対して修正指示を書けば、座標や要素名を言葉で説明せずに済みます。「この余白を詰めてください」のように、画面を見ながら指示を渡せる点が、テキストだけのやり取りとの差になります。

ブラウザ操作を任せるときの安全設定

ブラウザ関連はAntigravityの中でも扱いに注意が要る領域です。公式ドキュメントによると、ブラウザ操作は専用のBrowser Subagentが担当し、ローカルのChromeを開いて読み取り、実際に操作します。

安全対策は3つある

アクセス先を絞る許可リストと拒否リスト、普段使いと切り離した専用のChromeプロファイル、そしてブラウザ機能そのものの無効化の3つです。前の2つは既定で働くしくみで、3つ目は自分で選ぶ設定です。

許可リストと拒否リストの設定場所

公式ドキュメントによると、許可リストは自分で編集できるローカルのテキストファイルで、初期状態ではlocalhostだけが入っています。許可リストに無いURLを開こうとすると確認が出て、「always allow」を押すと、開こうとしたURLが許可リストに追加されます。拒否リストはGoogleのBadUrlsCheckerがサーバー側で判定し、拒否リストが常に優先されます。拒否リストに載っているURLは、許可リストへ書き足しても開けません。判定サーバーに接続できないときは、既定で拒否になります。

専用Chromeプロファイルでログインが必要なとき

エージェントは個人データを守るために完全に別のChromeプロファイル上で動作します。普段使いのプロファイルのCookieやログイン情報は引き継がれないため、会員ページの確認を任せたい場合は、専用プロファイル側で1回ログインします。公式ドキュメントによると、ログイン状態は保存され、次にブラウザを開いたときもアカウントは残ります。作業のたびに入力し直す必要はありません。

Browser Toolsをまとめて無効にする

ブラウザ機能そのものを止めたい場合は、User Settingsの「Browser」セクションにあるBrowser Toolsの設定を切り替えます。社内規定で外部サイトへの自動アクセスが制限されている環境では、先に無効化しておく判断もあります。

複数のエージェントを並行させる

Agent Managerからは、複数の会話を同時に立ち上げられます。公式ドキュメントも、並行を含む複数のエージェント会話を起動できると明記しています。長時間かかる保守作業やバグ修正を裏で走らせながら、別の作業を進める使い方が想定されています。

同時に走らせてよい条件

並行が機能するのは、触るファイルが重ならない場合だけです。フロントエンドの画面修正とバックエンドのAPI修正のように、担当領域が分かれていれば衝突しません。逆に、同じファイルを2つのエージェントに同時に触らせると、あとから書いたほうが前の変更を消してしまいます。

並行前にやっておくこと

作業を投げる前に、いまの状態をコミットしておきます。複数の変更が混ざったあとで問題が起きると、どのエージェントの仕業かを切り分ける作業が発生します。区切りを作っておけば、丸ごと戻す判断がすぐにできます。

モデルはどれを選べばいい?

速度を求めるならGemini 3.8 Flash、精度が要る設計や難しい不具合の調査ならGemini 3.1 ProやClaude Opus 4.6を選びます。モデルは会話の入力欄の下にあるドロップダウンから切り替えます。

FIG.3
公式ドキュメント記載のモデルと、編集部の選び分け
モデル 向く場面
Gemini 3.8 Flash / 3.7 Flash / 3.6 Flash 定型的な修正、件数の多い軽い作業
Gemini 3.1 Pro 設計を伴う実装、影響範囲の広い変更
Claude Sonnet 4.6(thinking) 既存コードの読み解きとリファクタリング
Claude Opus 4.6(thinking) 原因が読めない不具合の調査
GPT-OSS-120b 用途に応じた比較検証
Nano Banana 2 画像生成に使われるモデルで、利用者が選ぶ対象ではありません
利用できるモデルはプランによって変わります。

実行中にモデルを切り替えても、その回は変わらない

気をつける点が1つあります。公式ドキュメントによると、モデルの選択は会話内のメッセージ間で保持され、エージェントの実行中にモデルを変更しても、その回は変更前のモデルで走り続けます。切り替えたつもりで結果が変わらないときは、保持の仕様が理由です。各モデルの性能差はGemini 3.7 Flashの位置づけでも触れています。

Antigravityに向いている作業・向かない作業

任せる範囲を決めておくと、成果が安定します。完成条件を文章で書けるかどうかが、任せられるかどうかの分かれ目です。書けるなら任せ、書けないなら自分で手を動かすほうが早く終わります。

FIG.4
任せる作業と、手元に残す作業
任せると成果が出る 自分でやるほうが速い
テストが用意されている範囲の修正 正解が決まっていない仕様の検討
同じ変更を多数のファイルへ反映する作業 1行で終わる修正
画面の動作確認と再現手順の記録 本番データや権限が絡む操作
既存コードの読み解きと影響範囲の調査 言葉にしづらいデザインの詰め

本番環境に触る作業を任せない理由は、承認を挟んでも取り返しがつかない操作があるためです。データベースの更新や外部への送信を含む工程は、エージェントに握らせない運用が無難といえます。

CursorやClaude Codeと何が違うのか

大きな違いは、成果物が残るかどうかです。Cursorはエディタの中で差分を当てていく流れが中心で、Claude Codeはターミナル上での対話が主軸になります。Antigravityは実装計画や操作録画をArtifactとして残すため、あとから第三者が経緯を追えます。チームで作業を引き継ぐ場面では、経緯が文書で残るぶん引き継ぎが楽になります。

FIG.5
AntigravityとCursorの違い(3点だけの要約)
観点 Antigravity Cursor
成果物が残るか 実装計画・コード差分・ブラウザ録画をArtifactとして保存する 会話とコード差分が中心
主戦場 エディタ・ターミナル・ブラウザの3つ エディタの中
レビューの単位 実装計画とArtifactの単位 コード差分の単位
料金・速度・拡張機能まで含めた全項目の比較は別記事で扱っています。

一方で、動作が重く感じる場面や、画面を開く手間がかかる場面もあります。料金や動作の軽さまで含めた比較はAntigravityとCursorの比較で扱っています。

Antigravityが起動しない・動かないときの原因と対処

起動しない、途中で止まる、応答が返らないといった症状は、原因が環境側にあることが多い領域です。対応OSの要件を満たしているか、拡張機能や通信経路が塞がっていないかを順に確認します。症状別の切り分けはAntigravityが起動しない原因と対処にまとめています。

よくある質問(FAQ)

Antigravityはプログラミングの知識がなくても使えますか?

指示を出して結果を受け取るだけなら、コードを書けなくても操作できます。ただしレビューの段階で、実装計画や差分が妥当かを判断する必要があります。判断ができないまま進めると、動かないコードが積み上がる状態になりやすいため、小さな範囲から試すのが現実的です。

Antigravityはオフラインでも動きますか?

公式ドキュメントに、オフラインでの動作についての記載はありません。エージェントが選べるモデルはGeminiやClaudeなどクラウド上のモデルのため、通信できる環境で使うことが前提になります。

エージェントが勝手にファイルを書き換えるのを止められますか?

止められます。実装計画のArtifactに「Proceed」ボタンと「Review」ボタンがあり、Proceedを押すまで実装は始まりません。Reviewを押せばコメントをまとめて返せるため、ローカルのファイルが変更される前に方針を直せます。なお、承認が必要なときにターミナルのステータスバーへ通知が出るのはAntigravity CLIの動作で、デスクトップアプリの挙動ではありません。

複数のエージェントを同時に動かすと料金は増えますか?

同時に動かした分だけ処理が発生するため、消費は増えます。プランごとの上限や、上限に達したときの挙動はAntigravityの制限で解説しています。並行作業を常用する場合は、先に上限の考え方を把握しておくと想定外の停止を避けられます。

ブラウザ操作で普段使っているChromeのログイン情報は使われますか?

使われません。公式ドキュメントによると、エージェントは個人データを保護するために完全に別のChromeプロファイルで実行されます。そのため、ログインが必要なページの確認を任せたい場合は、そのプロファイル側で改めて認証を通す必要があります。

途中でモデルを変えると、その場で切り替わりますか?

切り替わりません。公式ドキュメントは、エージェントの実行中にモデルを変更した場合、変更前に選ばれていたモデルで処理が続くと説明しています。別のモデルで試したいときは、実行が終わってから切り替えるか、新しい会話を立てるのが確実です。

まとめ:任せる範囲を決めてから触る

Antigravityを使いこなせるかどうかは、機能を覚えた量ではなく、完成条件を文章で書けるかどうかで決まります。まずはテストが通っている小さな修正を1つ選び、実装計画を読んで直し、差分を確認して仕上げる。この一周を体験すれば、どこまで任せられるかの感覚がつかめます。範囲を広げるのはそのあとで十分です。導入前の環境づくりはインストールと初期設定、費用の判断は無料枠の範囲から確認してください。

出典

ブラウザ操作をエージェントに任せるときの許可設定はAntigravityのブラウザ操作の設定にまとめています。