Claudeに独自の業務手順を覚えさせたいとき、これまでは同じ指示を毎回プロンプトに貼り直したり、SKILL.mdをローカルに置いてClaude Codeから読ませたりしていました。チームで共有しようとすると「誰のどの版が最新か」が分からなくなる——そんな運用の詰まりを解くのがClaude Skills APIです。Anthropicは2026年8月20日、このSkills APIを正式版(GA)にしました。自作のスキルをアップロードしてバージョン管理し、リクエストに添付して使う開発者向けの仕組みで、スキルはClaudeのコード実行サンドボックスで動くため、サーバーを自前で用意する必要はありません。本記事では、/v1/skillsのエンドポイント、SKILL.mdの作り方、バージョン管理、containerでの添付、料金と制限までを、公式ドキュメントの一次情報とコード例で解説します。
この記事の要点
  • Claude Skills APIは2026年8月20日に正式版(GA)になりました。/v1/skillsに自作スキルをアップロードし、バージョン管理して、Messages APIの container で添付して使います
  • スキルはコード実行サンドボックス(bash・ファイルシステム)で動くため自前ホスト不要。利用には code_execution_20250825 ツールの有効化が必要です。プリセットは pptx / xlsx / docx / pdf の4つです
  • カスタムスキルはworkspace単位で管理され、同じworkspaceのAPIキーはすべてのスキルにアクセスできます。マルチテナントではテナントごとにworkspaceを分けるのが前提です

01Claude Skills APIとは|自作スキルを本番で使う仕組み

Claude Skills APIは、指示・スクリプト・テンプレートをまとめた「スキル」を、APIから登録して管理し、リクエストごとに添付して使うための開発者向けの仕組みです。スキルは、SKILL.mdという説明ファイルと、それを補助するファイル(スクリプトやテンプレート)をまとめたフォルダで、必要なときだけClaudeが読み込んで、コード実行サンドボックスの中で使います。自前でサーバーを立てる必要はなく、アップロードすればすぐに全リクエストから呼べます。

これまで独自手順をClaudeに渡す方法は、プロンプトに毎回書く、あるいはMCPで外部ツールをつなぐ、といった形でした。Skills APIは、そのどちらとも違い「手順書そのものをバージョン管理された部品として登録し、必要なときだけ差し込む」点が特徴です。同じ2026年8月20日にはClaude Computer UseやFiles APIも正式版になっており、スキルが生成したファイルはFiles API経由で受け取ります。Claude Code側でのスキル・サブエージェント・スラッシュコマンドの違いと使い分けはClaude Code サブエージェントとスキルの違い・使い分けで整理しています。

02Claude SkillsとSkills APIの違い

「Claude Skills」と「Skills API」は指すものが少し違います。Claude Skillsは、claude.ai・Claude Code・APIのいずれでも使えるスキルという機能そのものです。対してSkills APIは、そのスキルをプログラムから登録・更新・添付するための入口を指します。手作業でSKILL.mdを置くのではなく、CI/CDやツールから自動でスキルを配る運用に向くのがSkills APIです。

この記事は、開発者がAPIから自作スキルを扱う場面に絞って解説します。claude.aiの画面からスキルを使うだけなら、APIの知識は要りません。逆に、複数のプロジェクトやチームへスキルを配って版を揃えたい、生成物をFiles APIで受け取ってシステムに組み込みたい、という段階ではSkills APIが必要になります。

03使えるスキルの種類|プリセットと自作

スキルには、Anthropicが用意する組み込み(プリセット)スキルと、自分で作るカスタムスキルの2種類があります。まず全体像を表で示します。

FIG. 01プリセットスキルと自作スキルの違い
種類 type skill_id 用途
プリセット anthropic pptx / xlsx / docx / pdf PowerPoint・Excel・Word・PDFの作成や編集
カスタム custom アップロード時に発行されるID 自社の業務手順・規約・テンプレートを部品化

プリセットは pptx・xlsx・docx・pdf の4つで、資料やスプレッドシート、文書、PDFの生成に使えます。バージョンは日付形式(例: 20251013)か latest で指定します。カスタムスキルは、自社のコーディング規約やレポートの書式など「毎回同じにしたい手順」をまとめて登録できます。ここが差別化の中心になるので、作り方を順に見ていきます。

04自作スキルの作り方とアップロード手順

カスタムスキルは、SKILL.mdを含むフォルダを /v1/skills にアップロードして作ります。手順は「SKILL.mdを書く」「アップロードする」の2つです。

①SKILL.mdの構造

フォルダの直下にSKILL.mdを置き、先頭にYAMLフロントマターで name と description を書きます。name は最大64文字、小文字の英数字とハイフンのみで、anthropic や claude といった予約語は使えません。description は最大1024文字です。

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name: coding-guideline
description: 自社のコーディング規約に沿ってコードを生成・レビューする
---

# コーディング規約
- インデントはスペース2つ
- 命名はキャメルケース
- 例外は握りつぶさずログに残す
(以下、手順やテンプレートを記述)

②アップロードのコマンド

SKILL.mdとその補助ファイルを、zip または個別ファイルとしてアップロードします。合計サイズは解凍後で30MB未満に収める必要があります。個別ファイルで送るときは、フォルダ構造を保ったまま指定します。

curl -X POST "https://api.anthropic.com/v1/skills" \
  -H "x-api-key: $ANTHROPIC_API_KEY" \
  -H "anthropic-version: 2023-06-01" \
  -F "files[]=@coding_guideline.zip"

作成に成功すると、そのスキルを指す skill_ で始まるIDが返ります。以降、このIDでスキルを参照します。一覧は GET /v1/skills、詳細は GET /v1/skills/{skill_id}、削除は DELETE /v1/skills/{skill_id} です。GET /v1/skills は source パラメータで custom(自作)と anthropic(プリセット)を絞り込めます。

05スキルのバージョン管理の方法

更新は、新しいバージョンとして積み上げます。POST /v1/skills/{skill_id}/versions にファイル一式を送ると、skver_ で始まるバージョンIDが自動で発行されます。リクエストでは、この正確なバージョンIDを指すか、latest で最新版を指定できます。運用が安定するまでは latest、本番で挙動を固定したいときは特定のバージョンID、と使い分けると安全です。

新しいバージョンを作るときの注意点は2つあります。1つ目は、アップロードするファイルは毎回すべて送ることです。前の版にあって今回省いたファイルは引き継がれません。2つ目は、新版のSKILL.mdの name が既存スキルの名前と一致している必要があることです。名前を変えたい場合は別スキルとして作り直します。バージョン一覧は GET /v1/skills/{skill_id}/versions で確認できます。

06スキルをリクエストに添付する方法

登録したスキルは、Messages APIの container パラメータで添付します。skills の配列に、type(anthropic か custom)と skill_id、任意で version を並べます。1リクエストにつき最大20個まで添付できます。スキルはサンドボックスで動くため、code_execution_20250825 ツールの有効化が必須です。

curl https://api.anthropic.com/v1/messages \
  -H "x-api-key: $ANTHROPIC_API_KEY" \
  -H "anthropic-version: 2023-06-01" \
  -H "content-type: application/json" \
  -d '{
    "model": "claude-opus-5",
    "max_tokens": 4096,
    "container": {
      "skills": [
        {"type": "anthropic", "skill_id": "xlsx", "version": "latest"}
      ]
    },
    "messages": [{"role": "user", "content": "売上サマリのExcelを作って"}],
    "tools": [{"type": "code_execution_20250825", "name": "code_execution"}]
  }'

生成物はFiles APIで受け取る

スキルがファイルを生成すると、応答に file_id が返ります。中身は GET /v1/files/{file_id}/content でダウンロードします。会話をまたいで同じ作業を続けるときは、応答に含まれる container.id を次のリクエストで再利用すると、環境を引き継げます。処理が長引く場合は pause_turn という停止理由が返るので、同じcontainer IDで続きを投げます。

07料金・制限と対応環境

Skills APIは正式版で、特別なbetaヘッダは不要です(通常の anthropic-version: 2023-06-01 ヘッダで使えます)。利用にはコード実行ツール code_execution_20250825 を有効にできる環境が必要で、リクエストではその環境に対応したClaudeモデルを指定します。料金はSkills専用の追加課金ではなく、通常のトークン課金とコード実行の利用に準じます。従来のスキル運用と何が変わるのかを表にまとめます。

FIG. 02従来のスキル運用とSkills API
項目 これまで Skills API(正式版) 実務での意味
スキルの配布 ローカルにSKILL.mdを置く/手作業で共有 APIでアップロードして一元管理 チームやCI/CDから自動で配れる
版の管理 ファイル名や運用ルールで区別 skver_ IDと latest で明確に管理 「どの版が本番か」が固定できる
実行環境 自前で用意する場合がある コード実行サンドボックスで動く サーバーを持たずに済む
生成物の受け取り 手元に保存 file_id → Files APIで取得 システムに直接組み込める
添付数 — 1リクエスト最大20スキル 複数の規約・書式を同時に適用できる

アウトプットにどんな差が出ると想定されるか

「スキルを一度登録し latest や特定版で参照する」という仕組みから、同じ手順書を毎回プロンプトに貼り直す運用に比べ、指示の抜け漏れや版ズレが減ると想定されます。たとえばレポートの書式をスキルに固定すれば、依頼文が短くても出力の形が揃いやすくなります。これは仕様上の見込みであり、実際の精度は指示内容やスキルの書き方に左右されます。

アップロードとworkspaceの制限

アップロードは解凍後で合計30MB未満、SKILL.mdはフォルダの直下(または単一の親フォルダの先頭)に必要です。カスタムスキルはworkspace単位で管理され、1組織あたりデフォルトで100個までworkspaceを作れます。

08実践:サイト制作と自社ツール開発での使い方

ここからは、筆者の実務に近い2つの領域で、Skills APIをどう差し込むかを具体で示します。どちらも小さく試せる粒度です。

①サイト・LP制作:コーディング規約をスキル化して出力を揃える

制作チームでコードを生成すると、インデントや命名、レスポンシブの方針が案件ごとにぶれがちです。ここは、規約をSKILL.mdにまとめてカスタムスキルとして登録し、コード生成のリクエストに添付すると、依頼文が短くても出力の形を揃えられます。前章の手順でアップロードし、次のように添付します。

"container": {
  "skills": [
    {"type": "custom", "skill_id": "skill_あなたの規約スキルID", "version": "latest"}
  ]
}

規約を直したいときは、SKILL.mdを更新して新しいバージョンを上げるだけです。全案件が latest を参照していれば、次の生成から新しい規約が反映されます。ブラウザでの表示確認まで自動化したい場合は、Claude Computer Useと組み合わせる手もあります。

②自社ツール開発:定型レポートのExcelを自動生成する

月次の数値レポートをExcelで作る作業は、プリセットの xlsx スキルとコード実行を組み合わせると自動化できます。前掲のcurlのように xlsx を添付し、集計済みの数値を渡してファイルを作らせ、返ってきた file_id を GET /v1/files/{file_id}/content でダウンロードして、社内の保存先へ配置します。この一連を自作スクリプトから定期実行すれば、レポート作成の手作業が消えます。AIとツールをつなぐ土台の考え方はMCPとはもあわせてご覧ください。

09使うときの注意点とセキュリティ

最大の注意点は、カスタムスキルがuserや会話単位ではなくworkspace単位で管理されることです。同じworkspaceに属するAPIキーは、そのworkspaceのすべてのカスタムスキルを読み取り・実行・削除できます。つまり、あるテナントのスキルを別テナントから触れてしまう構成にしないことが重要です。

マルチテナントではどう分ける?

複数の顧客やチームにスキルを提供する場合は、テナントごとにworkspaceを分けるのが前提です。1組織でデフォルト100個までworkspaceを作れるため、テナント単位で切り分けてAPIキーの到達範囲を閉じます。スキルはコード実行サンドボックスでbashやファイル操作を行うため、扱うファイルやスクリプトの内容も、外部から渡された不審な指示が混ざらないよう管理します。

10よくある質問

Skills APIは無料で使えますか?

Skills専用の追加料金はありませんが、通常のトークン課金と、スキルを動かすコード実行の利用に応じた費用が発生します。プリセット・カスタムのどちらも、使った分だけかかります。

betaヘッダは必要ですか?

不要です。正式版のため、通常の anthropic-version: 2023-06-01 ヘッダだけで使えます。ただしスキルの実行には code_execution_20250825 ツールの有効化が必要です。

自作スキルはいくつまで添付できますか?

1リクエストにつき最大20個まで添付できます。プリセットとカスタムを混ぜて指定することも可能です。数が多いほど処理は重くなるため、必要なものだけに絞るのが無駄のない使い方です。

スキルを更新すると古い版は消えますか?

消えません。更新は新しいバージョンとして積み上がり、過去の版はバージョンIDで参照できます。本番の挙動を固定したいときは特定のバージョンIDを、常に最新にしたいときは latest を指定します。

Claude Codeのスキルと何が違いますか?

Claude Codeでもスキルは使えますが、そちらはローカルのSKILL.mdを読む使い方が中心です。Skills APIは、スキルをAPIから登録・版管理し、任意のリクエストへ添付する点が異なります。チームやシステムへ配って版を揃えたいときはSkills APIが向きます。

11まとめ:Skills APIを使うべきか

Skills APIを使うかは、「スキルをチームやシステムへ配って版を揃えたいか」で決めると迷いません。1人で手元だけなら、Claude Codeのローカル配置でも足ります。複数のプロジェクトに同じ規約や書式をそろえたい、生成物をFiles APIで受け取って自動化に組み込みたい、という段階になったらSkills APIが近道です。まずはSKILL.mdを1つ書いて /v1/skills にアップロードし、container で添付して1リクエスト試してみてください。関連して、同時に正式版化したClaude Computer Use、AI連携の土台となるMCPとは、拡張のもう一つの入口Claude Codeプラグイン、図解を作るスキルの実例としてArchifyの使い方もあわせて解説しています。

12出典

・Anthropic「Build production agents with computer use, the Skills API, and the Files API」claude.com/blog/computer-use-skills-api-files-api
・Anthropic「Using Agent Skills with the API」Claude Platform Docs platform.claude.com