「Antigravityを入れてはみたものの、最初にどこを触ればいいのか分からない」「エージェントが勝手にコマンドを実行しないか不安で、業務のリポジトリではまだ開いていない」。Antigravityの初期設定は、インストール後に設定画面で4か所を決めるだけで実用ラインに届きます。編集部が公式ドキュメントで確認したかぎり、危ないのはターミナルの自動実行とワークスペース外のファイルアクセスの2つです。この記事では、動作環境の確認からインストール、サインイン、プロジェクト作成、そして自動実行を止める権限設定までを順番にたどります。

Antigravityの初期設定は何から手をつける?

手順は5段階です。①動作環境を確認してインストーラーをダウンロードする、②Googleアカウントでサインインする、③最初のプロジェクトを作る、④設定画面でターミナルの自動実行とサンドボックスを決める、⑤テレメトリと日本語化を好みで調整する。この順番なら、途中でエージェントに想定外の操作をされる余地が残りません。

逆に多いつまずき方が、インストール直後にいきなり本番のリポジトリを開いてしまうパターンです。権限の既定値を確認しないままエージェントを走らせると、ターミナルの実行ポリシー次第では確認なしにコマンドが通ります。設定画面を先に開く、それだけで防げます。

FIG.1
Antigravity 初期設定の順番
01
動作環境の確認
macOSの公式要件はApple Silicon(Intel版の配布はあるが要件欄では非対応)。Windowsは64bit

02
インストールとサインイン
公式サイトから取得しGoogleアカウントで入る

03
プロジェクト作成
サイドバーの「+」からフォルダかGitリポジトリを登録

04
権限と自動実行
Agent Settingsで実行ポリシーとサンドボックスを決める

05
テレメトリと日本語化
Accountでテレメトリを決め、日本語化は別記事の手順で

インストール前に確認する動作環境

ダウンロードページに進む前に、手元のマシンが要件を満たしているかの確認が必要です。ここを飛ばすと、インストーラーが起動しない、あるいは起動しても更新が当たらないという形で後から跳ね返ってきます。公式のGetting startedにOSごとの条件が明記されています。

FIG.2
OS別の動作条件(公式ドキュメント記載)
OS 条件 アーキテクチャ
macOS セキュリティアップデートが提供されているバージョン(最新と直前2世代が目安)。最低はmacOS 12 Monterey Apple Silicon(x86は非対応)
Windows Windows 10(64bit)以降 x64 / ARM64
Linux glibc 2.28以上、glibcxx 3.4.25以上(Ubuntu 20、Debian 10、Fedora 36、RHEL 8などが該当) x64 / ARM64
出典: Google Antigravity Docs「Getting started」。メモリとディスク容量の下限は公式に記載がありません。

macOSはApple Siliconのみという条件に注意する

macOS版はApple Silicon向けのみで、Intel Macは対象外です。公式サイトのダウンロードボタンは「Download for Apple Silicon」と「Download for Intel」に分かれて見えますが、Antigravity 2.0の動作条件としてx86アーキテクチャは非対応と明記されています。手元のMacの種別は、Appleメニューの「このMacについて」でチップ名を見れば判別できます。

Intel Macしかない場合の選択肢

Intel Macが手元にある場合、無理に入れても動作は保証されません。WindowsマシンかLinux環境を用意するか、ブラウザ経由で使える他のAIコーディング環境に切り替えるほうが現実的です。手元の機材で何を選ぶかは、AntigravityとCursorの比較で料金と乗り換え条件を並べています。

上書きインストールの選び方

旧バージョンが残っている環境でインストーラーを実行すると、インストールの途中で「Keep Both」と「Replace」のどちらにするかを尋ねられます。設定を引き継いで1つに寄せたいなら「Replace」を選びます。検証用に旧バージョンを残したいときだけ「Keep Both」です。アプリ本体の再インストールを促されることもあり、その場合は案内に従って進めます。

Antigravityのインストール方法(ダウンロードから起動まで)

ここからは実際の導入手順です。公式サイト以外の配布元は使いません。開発者向けの提供は無料枠から始められるため、支払い情報の入力を求められた時点で配布元を疑うのが安全な線引きになります。

①公式サイトからインストーラーをダウンロードする

ブラウザで antigravity.google/download を開き、使っているOSのボタンを押します。ボタンの表記は、macOSなら「Download for Apple Silicon」、Windowsなら該当するアーキテクチャの実行ファイルです。ダウンロードが終わったら、macOSは.dmgを開いてアプリケーションフォルダにドラッグ、Windowsは.exeを実行してウィザードを進めます。

②Googleアカウントでサインインする

起動すると、Googleアカウントでのサインインを求められます。個人のGoogleアカウントで入れば、無料枠のままで使い始められます。Google AI PlusやPro、Ultraを契約している場合に変わるのは利用上限で、選べるモデルの種類は無料のときと同じです。組織で使う場合はEnterpriseの枠が別に用意されており、こちらだけはClaudeとGPT-OSSが対象外になります。どのプランで何がどこまで使えるかは、Antigravityの料金プランと無料枠の範囲にまとめました。

③最初のプロジェクトを作る

サインイン後の画面では、左サイドバーにあるフォルダに「+」が付いたアイコンを押し、「New Project」を選びます。そこにローカルのフォルダかGitリポジトリを追加して「Create」を押せば、プロジェクトの作成は完了です。1つのプロジェクトに複数のフォルダを紐づけられるので、フロントとバックが別リポジトリになっている構成でもまとめて扱えます。

最初に登録するのは、壊れても困らない検証用のフォルダにしておくことをおすすめします。権限の挙動を確かめる前に本番のリポジトリを渡す理由はありません。

Local ModeとNew Worktree Modeはどちらを選ぶ?

作業ツリーを汚したくないなら「New Worktree Mode」です。チャット入力欄に指示を書いて実行するとき、Antigravityは「Local Mode」と「New Worktree Mode」のどちらで動かすかを選ばせます。Local Modeは現在のフォルダをそのまま編集し、New Worktree ModeはGitのワークツリーを別に切って作業します。複数のエージェントを並行させるときや、差分を後からまとめて確認したいときは後者が扱いやすい設計です。

設定画面はどこから開く?

キーボードなら Cmd + ,(Windowsは Ctrl + ,)です。マウスで開く場合は、左サイドバーの下部にある「Settings」を押します。プロジェクト単位の設定を触りたいときは、対象プロジェクトの横にある歯車アイコンから入ります。

グローバル設定とプロジェクト設定の役割分担

Antigravityの設定は、すべてのプロジェクトに適用される「Global Settings」と、プロジェクトごとの「Project Settings」に分かれています。Global Settingsに並ぶのは、アカウント(認証とテレメトリ)、Global Permissions、外観、ブラウザ連携、モデルの使用状況、そしてMCPサーバーやスキル、プラグインをまとめたCustomizationsです。Project Settingsには、対象フォルダとワークツリーの設定、Agent Settings、プロジェクト単位のPermissionsが入ります。

迷ったときの原則は単純です。安全側の既定はGlobalで一度決め、案件ごとに緩める必要が出たらProjectで上書きします。逆にすると、緩い設定が全プロジェクトに波及します。

最初に見直す4つの設定

ここからが本題です。編集部が公式ドキュメントを読んだ上で、インストール直後に必ず確認しておきたいと判断したのは次の4つでした。いずれもAgent SettingsとAccountの中にあり、5分あれば一巡できます。

①ターミナルの自動実行を「Request Review」にする

Agent Settingsの「Terminal Command Auto Execution」で、エージェントがシェルコマンドをどこまで自動で走らせるかを決めます。選択肢は3つで、最初は最も慎重な「Request Review」から始めるのが無難です。挙動に慣れてから、案件ごとに「Proceed in Sandbox」へ上げていく順番なら事故になりません。

FIG.3
ターミナル自動実行の3ポリシー
設定値 エージェントの動き 向いている場面
Request Review Allowリストに載せたもの以外は自動実行しない 導入直後、業務リポジトリ
Proceed in Sandbox サンドボックス内なら自動実行し、外に出るコマンドだけ確認を求める 日常の開発作業
Always Proceed Denyリストに載せたもの以外を自動実行する 使い捨ての検証環境
出典: Google Antigravity Docs「Agent settings」

②ターミナルサンドボックスを有効にする

同じくAgent Settingsにあるのが「Terminal Sandbox Mode」です。有効にすると、シェルコマンドがOSレベルの分離機構の中で実行されます。Linuxではnamespace、macOSでは sandbox-exec が使われる仕組みで、機微なシステムパスや許可していないネットワークへは届かなくなります。設定はグローバルにもプロジェクト単位にも当てられるので、社外に出せないコードを扱うプロジェクトだけ強める運用も可能です。

IDE側の設定には「Enable Terminal Sandboxing」と「Sandbox Allow Network」というトグルも用意されています。ネットワークを閉じるとパッケージのインストールが通らなくなるので、依存解決が必要な作業では後者を開ける、という切り分けになります。

③プロジェクト外のファイルアクセスは閉じたままにする

「Agent Non-Workspace File Access」は、プロジェクトのフォルダより外にあるファイルをエージェントが読み書きしてよいかを決めるトグルです。既定ではプロジェクト配下と ~/.gemini/antigravity/ に限定されており、この状態がローカルの機微なデータを守る設計になっています。ホームディレクトリの設定ファイルや鍵を触らせる理由がないなら、オフのまま使い続けて問題ありません。

どうしても外部のファイルが必要な場面では、トグルを全開にするのではなく、次に説明するPermissionsで対象のパスだけを許可するほうが被害範囲を狭められます。

④テレメトリを送るかどうかを決める

Global SettingsのAccountに「Enable Telemetry」があります。有効な間は、Antigravityと支えるモデルの評価・開発・改善のために利用状況のデータが収集されます。個人の学習用途なら気にしなくてよい項目ですが、受託開発や社内の機密コードを扱う場合は、社内規程に照らして先に判断しておく箇所です。判断を後回しにすると、気づいたときには何か月分も送信済みという状態になります。

表示言語も、テレメトリと同じく好みで決める項目です。画面表示とAIの回答は別々の設定なので、両方を日本語にするならGoogle Antigravityを完全日本語化する手順を参照してください。

権限(Permissions)はどう決める?

Deny・Ask・Allowの3つのリストに、action(target) という形で書き分けます。Antigravityの権限は、エージェントが行う操作を1つずつリソースとして表現し、3つのアクセスリストで評価する仕組みです。優先順位はDeny、Ask、Allowの順で、衝突したときは強いほうが勝ちます。

Deny・Ask・Allowの優先順位

Denyに書いた操作は即座にブロックされ、確認画面すら出ません。Askに書いた操作では、エージェントが手を止めて承認を求めます。確認なしで通るのはAllowに書いた操作だけです。この3つが重なった場合はDenyが最優先で、次にAsk、最後にAllowという順で評価されます。危ないコマンドをDenyに置いておけば、実行ポリシーを緩めた後でもそこだけは通りません。

action(target)の書き方

アクションの種類は決まっており、括弧の中に対象を書きます。代表的な書き方は次のとおりです。

read_file(/path)
write_file(src/)
command(git)
read_url(google.com)
execute_url(domain)
mcp(server/tool)
unsandboxed(prefix)

read_file はパス配下を再帰的に読む許可で、ワイルドカード (*) を書くとファイルシステム全体が対象になります。write_file は同じパスに対する読み取りも暗黙に許可します。逆に読み取りをDenyしたパスは、書き込みも通りません。command はトークンの先頭を正規表現で照合する方式なので、command(git) と書けば git で始まるコマンド群が対象になります。

最初に書いておくと楽になる許可の例

編集部が公式の仕様から整理すると、導入直後に用意しておく価値が高いのは次の組み合わせです。読み取り専用の確認コマンドをAllowに置き、破壊的なコマンドをDenyに置くと、承認ダイアログの回数が目に見えて減ります。

Allow: command(git status)
Allow: command(git diff)
Allow: command(ls)
Deny:  command(rm)
Deny:  read_file(~/.ssh)

unsandboxed は、コンテナ分離の外でコマンドを実行させる許可です。強い権限なので、必要なコマンドが判明してから最小限で足す順番にします。ブラウザ操作についてはIDE設定に「Strict Mode」があり、URLの許可リストと拒否リストで到達先を絞り込めます。

どのプランでどのモデルが使えるか

初期設定の最後に、どのモデルを使うかを確認しておきます。公式のModelsページに載っている推論モデルは、Gemini 3.8 Flash、Gemini 3.7 Flash、Gemini 3.6 Flash、Gemini 3.1 Pro、Claude Sonnet 4.6(thinking)、Claude Opus 4.6(thinking)、GPT-OSS-120bの7つです。この7つは無料およびGoogle AI Plus、Pro、Ultraのすべてで選べ、プランで変わるのは利用上限であってモデルの種類ではありません。例外はEnterpriseで、ClaudeとGPT-OSSだけが対象外と表記されています。使い方全体の見取り図はAntigravityの使い方ガイドにまとめました。

Flash系から試して、詰まったらProに切り替える

速度の目安として、Gemini Flash系は「Fast」、Gemini 3.1 Proは「High」と分類されています。最初は速いモデルで往復して、詰まったところだけ上位モデルに切り替える使い方が、無料枠を長持ちさせるうえでも扱いやすい進め方です。上限に当たったときの挙動はAntigravityの制限と回避策にまとめています。

うまくいかないときに見る場所

ここまでの手順どおりに進めても止まることはあります。原因の切り分けに使える確認点を挙げます。

インストールが進まないとき

まず疑うのはアーキテクチャの取り違えです。Intel MacにApple Silicon版を当てても動きません。Linuxの場合はglibcのバージョンが古い可能性があるため、ldd --version で確認します。Windowsで32bit版のOSを使っている場合も対象外です。企業のPCでは、管理者権限やソフトウェア配布の制限でインストーラーが弾かれることもあります。

起動後にエージェントが動かないとき

サインインが完了していない、プロジェクトが作られていない、あるいは実行ポリシーが「Request Review」のまま承認待ちで止まっている、という3つがよくある入口です。画面下部の承認ダイアログを見落としているだけ、という場合も少なくありません。起動そのものが失敗する症状は原因が別にあるため、Antigravityが起動しないときの対処を先に確認してください。

よくある質問

Antigravityの初期設定に料金はかかりますか?

かかりません。開発者向けには無料で提供されており、Googleアカウントでサインインすれば無料枠の範囲で使い始められます。Google AI PlusやPro、Ultraを契約すると変わるのは利用上限で、選べるモデルの種類は無料のときと同じです(ClaudeとGPT-OSSが対象外になるのはEnterpriseだけです)。

設定画面はどのショートカットで開きますか?

Cmd + ,(Windowsは Ctrl + ,)です。左サイドバー下部の「Settings」からも開けます。プロジェクト固有の設定は、プロジェクト名の横にある歯車アイコンから入ります。

エージェントにコマンドを自動実行させない設定はどれですか?

Agent Settingsの「Terminal Command Auto Execution」を「Request Review」にします。この状態では、Allowリストに載せたコマンド以外は自動で実行されず、毎回承認を求められます。加えてDenyリストに command(rm) のような危険な操作を書いておくと、後でポリシーを緩めてもその部分は通りません。

プロジェクトの外にあるファイルは読まれますか?

既定では読み取りの対象外です。アクセス範囲はプロジェクト配下と ~/.gemini/antigravity/ に限定されており、「Agent Non-Workspace File Access」をオンにしない限り外には出ません。特定のパスだけ必要な場合は、トグルを開けるのではなくPermissionsで個別に許可するほうが安全です。

入力したコードはモデルの学習に使われますか?

Global SettingsのAccountにある「Enable Telemetry」が有効な場合、Antigravityと関連モデルの評価・開発・改善のために利用状況のデータが収集されると公式に記載されています。収集の可否を自分で決めたい場合は、この項目を初期設定の段階でオフにしてください。機密性の高いコードを扱う環境では、社内規程との突き合わせを先に済ませるのが順番です。

設定を初期状態に戻すことはできますか?

Agent SettingsやPermissionsは、設定画面から個別に元の値へ戻せます。プロジェクト単位で緩めた設定の戻し先は、そのプロジェクトのProject Settingsです。全体を作り直したい場合は、プロジェクトを削除して作り直すほうが、どこを触ったか分からない状態を引きずるより早く片付きます。

まとめ|最初の5分で決めるのは「自動実行の範囲」

Antigravityの初期設定は、インストールとサインインまでは案内どおりに進めれば詰まりません。分かれ目は、その後にAgent Settingsを開くかどうかです。ターミナルの実行ポリシーを「Request Review」にし、サンドボックスを有効にし、ワークスペース外のファイルアクセスを閉じたままにする。この3つを押さえておけば、想定外の操作が走る余地はほぼ残りません。テレメトリの可否は、扱うコードの性質で決めてください。

設定が済んだら、検証用のフォルダで1つだけタスクを投げ、承認ダイアログがどこで出るかを目で確かめるのが失敗しない進め方です。表示とAI回答の日本語化はGoogle Antigravityを完全日本語化する手順、機能全体の使いこなしはAntigravityの使い方ガイド、無料枠でどこまで踏み込めるかは無料枠の範囲にまとめています。